脳卒中の3つの病型
脳梗塞
脳梗塞とは、脳の血管が詰まることにより、脳細胞に血流が届かなくなる病気です。脳細胞に血流が届かないと、脳細胞の酸素や栄養が足りなくなり、脳細胞が死に至ります。脳に十分な血流が届かないと、脳細胞は3分程度で死んでしまい、再生しません。
脳梗塞は、脳卒中のうち7割を占め、症状は片方の手足の麻痺、言語障害、視野障害から意識障害に至るまでさまざまです。
多くの場合、発症前に予兆はありませんが、時として一時的な麻痺や視野障害などの前兆を伴うこともあります。脳梗塞は、脳や脳血管の状態を把握することで発症リスクをある程度予測できます。発症予防のためには動脈硬化の原因となる生活習慣病の管理が重要です。
脳出血(脳内血腫)
脳出血とは、脳血管のうち、主に脳の内部を走行する細い血管が破綻して、もれ出した血液が脳の中で血腫を形成して脳を圧迫し、脳が破壊される病気です。脳細胞が破壊されると、元に戻ることはありません。脳卒中の2割を占め、主に手足のしびれや麻痺、意識障害などがあらわれます。ある日突然生じる病気で、予兆はありません。
脳出血の最大の危険因子は高血圧です。日本人の高血圧管理が改善したことで、数十年前よりも脳出血は格段に減少しました。高血圧管理こそ、脳出血予防のために最も重要です。
その他、脳の血管の奇形や、認知症、脳腫瘍などが脳出血の原因になることがあります。これらの多くは、MRIなどを用いて脳の状態を検査することで予防できます。
くも膜下出血
くも膜下出血とは、脳の内部ではなく、脳の表面の隙間に出血する病気です。脳卒中の1割を占め、主な症状は突然の頭痛および意識障害です。
脳の太い血管は、脳の内部ではなく、脳の周囲を走行しています。ほとんどの場合、くも膜下出血の原因は脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤とは、脳の主に太い血管にできた瘤<コブ>です。
くも膜下出血はある日突然生じる怖い病気で、発症者のうち1/3は死亡、1/3は後遺症を残し要介護状態となります。
しかし、くも膜下出血は、その発症前に脳血管の検査を行うことで、原因となる血管病変を発見できますので、発症を予防することが可能です。