このような方が受診されます
- 手や足の力が入りづらいと感じる
- 急に手や足の力が入らなくなった
- 手や足に、正座をした後のようなしびれが続く
- 感覚が鈍くなっている部分がある
- しびれがあり、脳や首が心配
手足のしびれ・脱力
Numbness / Weakness
Numbness / Weakness
「しびれ」というと、手足がジンジンするといった、ちょうど長時間正座したあとのような症状を思い浮かべる方は少なくないと思います。ジンジン・ピリピリ・チクチク・・・こうした感覚は、「異常感覚」・「知覚過敏」の一種です。原因として、感覚神経の障害が生じている可能性があります。
一方、患者さんの訴える「しびれ」には多彩な症状が含まれています。
例えば、感覚が鈍いことを「しびれ」と表現する人もいます。「触っている感じが鈍い」、「“熱い”・“冷たい”がわからない」、「自分の手ではないみたい」といった感覚は、「感覚低下」・「感覚鈍麻」・「感覚脱失」です。こうした症状の原因としても、感覚神経の障害が疑われます。
その他、手や足の力がうまく入らなくなった状態を「しびれている」と表現することがあります。医学的には「脱力」・「運動障害」・「運動麻痺」の状態であり、運動神経の障害が疑われます。
運動神経や感覚神経が傷つく原因は多岐に渡り、その中には脳や脊髄のほか、手や足を通る末梢神経などの病変があります。そして、しびれの原因は、障害が起こった場所によりさまざまです。
とりわけ、脳卒中の場合には「手足が動かなくなる」、「感覚がおかしくなる」、といった症状が突然起こります。治療の遅れは後遺症に繋がりますので、一刻も早く専門医を受診して診断を受けることが重要です。
体の運動や感覚に関わる神経は、脳から脊髄へと続き、脊髄から末梢神経が出て手足へとつながります。
脳や脊髄、手足の末梢神経のさまざまな病気がしびれの原因になります。
運動機能に関わる神経は、大脳の一次運動野から脊髄を介して体幹や手足の末梢神経へ伝わります。この経路のどこかが傷つくと、運動障害(麻痺、脱力)が生じます。
感覚機能に関わる神経は、運動神経とは逆行性に、体幹や手足の末梢神経から脊髄を経て、最終的に大脳皮質の一次感覚野に到達します。この経路のどこかの障害で起こると、感覚障害(しびれ、じんじん感)が生じます。
しびれを起こす原因は、脳の病気、脊髄の病気、末梢神経の病気など多様です。しびれの出方や分布から、病変部位を推定することになります。
運動機能の障害と感覚の障害は、必ずしも同時に現れるとは限りません。
脳に原因がある場合には、主に左右のどちらかの手足のしびれが生じます。時に、顔面のしびれを伴うこともあります。その他、片方の手もしくは足だけのしびれのこともあります。
脳の病気の例:脳梗塞や脳腫瘍など
特に、急に生じたしびれの場合や、口の周りのしびれを伴う場合には脳梗塞をはじめとする脳の病気の可能性があります。速やかに病院を受診しましょう。
脊椎とは、背骨のことです。脊髄とは、脳から続く中枢神経の一部であり、背骨の中を通っています。脊椎や脊髄の病気では、一般的に慢性的なしびれを生じます。
上肢のしびれを伴う場合には、頚椎(首)の病変の可能性があります。頚椎の病変では、時として体幹や下半身の症状を伴います。
頚椎の病気の例:頚椎症や頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、頚髄腫瘍、頚椎の血管障害、多発性硬化症など。
下肢のしびれの場合には、腰椎(腰)の病気の可能性があるほか、稀ながら胸椎の病気の可能性があります。
腰椎の病気の例:腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、腰椎圧迫骨折のほか、腰髄腫瘍や腰部の血管障害など。
局部の末梢神経の病気の場合には、片側の手もしくは足のしびれが生じます。神経が圧迫を受ける病気として、手根管症候群や肘部管症候群、足根管症候群、胸郭出口症候群などがあります。
また、神経そのものの病気として、ギラン・バレー症候群や多発性ニューロパチーなどがあります。
栄養の障害や代謝の問題から、末梢神経が障害を受けることがあります。ビタミン欠乏や電解質の異常、糖尿病、アルコール多飲、薬による副作用などはその一例です。その場合には、障害は左右対称に出現するのが一般的です。
神経の専門医の診察により、脱力や感覚障害の部位から、障害を受けた神経の部位を推定します。
脳や脊髄のMRIにより、脳梗塞や脊椎ヘルニア、脊柱管狭窄症などのしびれの原因となる病変を見出します。
末梢神経の障害の部位や程度を把握する検査です。障害を受けている可能性のある神経を、皮膚の上から微弱な電流を流すことにより電気刺激して、神経の反応を確認します。
しびれの原因として、内科的な異常(糖尿病やアルコール性、ビタミン欠乏、電解質異常など)が疑われる場合には、血液検査も行います。
しびれが長期にわたり治らない方、また次第に悪化している方は、放置せずに早めに受診してください。
また、しびれが突然おこった場合には、脳に問題が出ている可能性もあるので、速やかに受診してください。