片頭痛治療薬アイモビーク
- 2021年8月20日
アイモビーグ(片頭痛発作の発症抑制)
片頭痛でお悩みの方に、新たな選択肢がまた増えました。
5月に発売されたエムガルティに続き、2つ目の抗CGRP抗体薬です。
「アイモビーグ皮下注 70mg ペン」
(エレヌマブ:遺伝子組換え製剤)
承認:2021年6月23日
発売:2021年8月12日
世界では最初に発売された CGRP 製剤で、2018年に上市しました。
アイモビーグの作用機序
国内初めての抗CGRP受容体モノクロナール抗体としての片頭痛の予防薬になります。
(エムガルティは抗CGRP抗体)
片頭痛の原因とされる CGRP(カルシトニン関連ペプチド)は、脳の「神経伝達物質」の一つです。
頭部にある「三叉神経」は、顔面や前頭部の感覚に関わる神経です。この三叉神経の末端にあるCGRP受容体に、神経伝達物質であるCGRPが結合すると、炎症や痛みが起こされます。この痛みが片頭痛と関係すると言われています。
アイモビーグは、このCGRP受容体にくっついて蓋をして、CGRPの結合を阻害することにより、片頭痛の発作を抑えるお薬です。
アイモビーグの使用方法
初回投与時に70㎎(1本)を投与(皮下注射)
その後は、4週間に1回・1本のペースで皮下注射を継続
・初回導入時も継続投与時も一貫して、1回の投与量は70mg(1本)です。
・患者の状態に応じて投与中断をご検討いただけます。
アイモビーグの効果
① 片頭痛の発作回数が減少する。
② 発作時の内服薬が減る。
③ 片頭痛による痛み、日常生活への影響が軽減。
※ 減少には個人差があります。
投与1ヶ月目から月間の片頭痛日数の減少が認められています。
プラセボ群と比較して投与1ヶ月目から有意差をもって平均月間片頭痛日数の減少が認められ、その効果は6ヶ月目まで持続しました。
一年経過後に64.5%の患者さんで月間の片頭痛日数が50%減少したことが認められています。
アイモビーグの副作用は?
アイモビーグの主な副作用として、便秘、注射部位の赤み・かゆみ・腫れ・疼痛、傾眠などが報告されています。
その他、重大な副作用として、過敏反応や重篤な便秘などがあらわれることがあります。
アイモビーグの薬価は?
1本あたり38,980円です。
自己負担割合3割の方では、1回あたり約11,694円の自己負担になります。
※ 他に、初・再診料、注射処置料、お薬の処方のある方では処方せん料などが掛かります。
エムガルティ・アジョビとの違いは?
作用点が異なる
これらの薬はいずれも抗CGRP製剤であり、いずれもCGRPとCGRP受容体の結合を阻害するという点では共通します。
しかし、他の2剤とは作用する部位が異なります。
エムガルティとアジョビがCGRPそのものに結合することにより阻害するのに対して、アイモビーグはCGRP受容体に結合することにより阻害します。
エムガルティとは使用方法がやや異なる
・エムガルティ:初回2本、その後は30日毎に1回、1本ずつ注射
・アジョビ:4週間毎に1回、1本ずつ注射