福岡市の脳神経外科 「頭痛・めまい・てんかん・脳卒中・物忘れ・認知症」のはしぐち脳神経クリニック。

手足の力が入らない(運動障害)

Impairment of Motor funcition of the limbs

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手足の力が入らない(運動障害)

 

手や足などの体の全体または一部を自分の意のままに動かすことが出来なくなる状態を「運動障害もしくは「麻痺と呼びます。手足の動きが少し残っている場合、「不全麻痺と呼びます。

麻痺の出現している部位により、病巣を推定して、検査を行うことで、診断に結び付けます。

 

 

運動麻痺の部位と鑑別

 

片麻痺

 

左右どちらかの半身の手足の麻痺のことです。

病変の存在する場所としては、大脳半球、間脳、脳幹などが考えられますが、稀に脊髄や末梢神経に原因があることもあります。

● 顔面を含む場合、脳の病変が考えられます。

● 交代性片麻痺は、脳幹の病変の場合に生じます。

● 上位頚髄の病変では、顔面の麻痺を伴いません。

片麻痺が急に生じた場合、脳卒中(脳梗塞や脳出血)が第一に疑われます。緩徐進行性の場合には、脳腫瘍の可能性もあります。その他、多発性硬化症をはじめとする脱髄・炎症性疾患、慢性硬膜下血腫、脳膿瘍なども片麻痺を生じる原因として重要です。

病気の部位 病気の例 特徴
脳の病気 脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、多発性硬化症、脳炎、もやもや病など 他の症状(発語の障害や顔面の障害など)を伴うことが多い。
脊椎・脊髄の病気 頚椎症性脊髄症、頚髄腫瘍など 首から上の症状を伴わない。
末梢神経の病気 短麻痺を起こす病気が片側の上肢と下肢に生じた場合(ギラン・バレー症候群など)

 

単麻痺

 

片側の上肢もしくは下肢のいずれかに限局した麻痺がある場合を言います。その原因として、大脳から手足の末梢神経に至るまでの各部位の病変を疑う必要があります。腕または足の中で、その全体に及ぶのか、ごく一部なのか、またその一部はどこなのかによって病変部位を見分けます。

● 手の麻痺に構音障害を伴う場合には、脳梗塞といった大脳の比較的小さな病変が最も疑われます。

● 頚椎の病変で頚椎から出る神経が障害を受けると、単麻痺を伴うことがあります。

● 末梢の手や足を通る神経の病気として、手根管症候群やギラン・バレー症候群などがあります。

 

病気の部位 病気の例 特徴
脳の病気 脳梗塞、脳腫瘍など 呂律不良や軽微な顔面麻痺などを伴うことも。
脊椎・脊髄の病気 椎間板ヘルニア、頚椎症など 片側の上肢や下肢の一部分に限局していることが多い。感覚障害を伴うこともある。
末梢神経の病気 手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群、腓骨神経麻痺、橈骨神経麻痺、平山病、多巣性運動性ニューロパチーなど 片側の上肢や下肢の一部分に限局していることが多い。感覚障害を伴うこともある。

 

対麻痺

 

両側の下肢の麻痺(下肢対麻痺)の原因として最も多いのは、胸~腰のあたりの脊髄の病変です。

● 対麻痺の場合、腰椎のMRI検査、病変が見つからない場合には胸椎のMRI検査を受けることが重要です。

● 稀ですが、脳の頭頂部に左右の大脳にまたがる様な病変があれば、両下肢の麻痺を生じることがあります。髄膜腫や、両側の前大脳動脈の血流障害では、このようなことが生じえます。

● 両側の上肢の麻痺はかなり珍しいと言えます。両上肢の麻痺で下肢の筋力低下や感覚障害を認めないもの(brachial diplegia)はman-in-the-barrel syndromeと呼ばれます。多発神経炎、運動ニューロン病、橋中心髄鞘崩壊などがその原因として報告されています。

 

病気の部位 病気の例 特徴
脳の病気 大脳鎌髄膜腫や、両側の前大脳動脈の血流障害、橋中心髄鞘崩壊、脳静脈血栓症など
脊椎・脊髄の病気 頚椎症、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、脱髄性疾患(多発性硬化症など)、血管病変(脊髄出血、脊髄梗塞、脊髄動静脈奇形)、外傷性脊髄損傷、感染性脊髄炎、脊髄係留症候群

稀なものとして、急性脊髄前角炎(ポリオ)、硬膜外膿瘍、急性散在性脳脊髄炎(acute diffuse encephalomyelitis ADEM)、HTLV-I関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy HAM)、筋萎縮性側索硬化症、亜急性連合性脊髄変性症など

感覚障害や排尿障害などを伴う。
末梢神経の病気 多発神経炎(ギラン・バレー症候群など)、運動ニューロン病など 片側の上肢や下肢の一部分に限局していることが多い。感覚障害を伴うこともある。

 

四肢麻痺

 

左右の手足全部が動かない状態を、四肢麻痺と呼びます。四肢麻痺は滅多に生じるものではありませんが、その原因が単一病変に基づくと仮定した場合、頚椎・頚髄(頚部の背骨もしくは頸部を通る神経)の病変の可能性が最も疑われます。脳幹の比較的大きな病変でも生じることがあります。

● 頚椎・頚髄の病変として脊髄損傷や脊髄腫瘍、脊髄変性疾患、後縦靭帯骨化症などがあります。

● 脳幹の病変として脳幹腫瘍、脳幹出血などが考えられますが、このような病変の場合には運動障害以外の症状も伴うケースが殆どです。

● 前述の単麻痺を起こす病気が四肢のそれぞれに出現した場合には、四肢麻痺を呈する可能性もあります。

 

病気の部位 病気の例 特徴
脳の病気 脳幹腫瘍、脳幹出血など 他の症状(発語の障害や顔面の障害など)を伴うことが多い。
脊椎・脊髄の病気 頚椎損傷、頚髄腫瘍、頚椎の変性疾患、後縦靭帯骨化症、筋萎縮性側索硬化症など 一般的には、顔面の症状を伴わない。
末梢神経・筋肉の病気 電解質異常、重症筋無力症、代謝性疾患(甲状腺疾患、アルコール性など)、筋ジストロフィー

その他、単麻痺・対麻痺に準ずる。

片側の上肢や下肢の一部分に限局していることが多い。感覚障害を伴うこともある。