外側大腿皮神経障害
外側大腿皮神経障害とは
太ももの外側部分に限局したしびれ、痛みを生じる病気です。
外側大腿皮神経とは、太ももの外側に分布する感覚神経です。第2~第3腰椎の知覚枝に由来します。
症状は?
この神経が鼠径部を通るところで、神経が鼠経靭帯により締め付けられると、太ももの外側(~前外側)部分にしびれや痛みを生じます。
運動障害は伴いませんが、痛みのため下半身に力が入りにくいと訴えることもあります。
股関節が伸びると痛みが増強します。立ったり歩いたりすると痛みが強くなり、しゃがむと軽減します。
女性に多く、平均年齢の中央値は60歳代にあります。両側に起こる方も10%程度はいるようです。
きつい下着やコルセット、肥満、妊娠、うつ伏せ姿勢による圧迫などが原因となります。鼠径部の手術後に生じることもあります。ただ、原因不明のことが大半です(約3/4)。
2/3の方では腰痛を合併しています。
診断は?
上述のような症状、しびれ、痛みの分布からこの病気を疑います。
Tinel徴候:鼠径部の神経絞扼部を押したり叩いたりすると痛みが誘発される。
腰椎MRI:腰椎疾患との区別に有用です。
下腹部CT・腹部エコー:骨盤内や後腹膜の腫瘍が疑われる場合には必要な検査です。
外側大腿皮神経ブロック:症状が消失すれば、診断に有用です。
治療は?
生活指導:コルセットやきつい下着などの要因を取り除くことが重要です。
内服薬:経口ビタミンB12製剤や神経障害性疼痛改善薬などを用います。
神経ブロック:上記の治療で改善が得られない場合、外側大腿皮神経ブロックを行う場合があります。
手術:治療抵抗性で、症状の改善が得られない場合には、局所麻酔下での神経剥離術が行われることもあります。