脊髄空洞症
脊髄空洞症とは
脊髄の内部に脳脊髄液が溜まっている状況です。
厳密には、脊髄の中央部にある「中心管」というもともとある小さな穴が拡大して液が貯留したものを水髄症(hydromyelia)と呼び、脊髄の実質部分が裂けて出来た液貯留を脊髄空洞症(syingomyelia)と呼びますが、厳密な区別はせずに用いられることが大部分です。
脊髄空洞症の原因は
脊髄空洞症は、脳脊髄液の循環にかかわる様々な異常に伴って出来るもので、その原因には様々なものがあります。
キアリI型奇形、くも膜炎、腫瘍に伴うもの、頭蓋底陥入症、外傷、出血、二分脊椎などもその原因となりえます。
症状は?
症状は、原因疾患によっても一様ではありません。典型的なケースにおける症状は、空洞症の存在するレベルにおける脊髄の感覚障害です。空洞症はしばしば頸髄(首の脊髄)に出来ますので、ちょうど、空洞症が存在するレベルが支配する上肢の感覚障害が出ます。それも、温度の感覚が障害されやすく、振動や位置に関する感覚は保たれます。温かいお湯や冷たい水を触ってもわかりいにくく、つねられても痛みを感じにくくなります。脊髄空洞症が大きくなり、症状が進行すると、感覚の障害された部位が広がり、また同じ部位のしびれ、手足の脱力、筋肉のやせ、などを伴うようになります。
脊椎側弯症を伴うケースも少なくありません。
診断は?
診断に最も有用な検査はMRIです。MRIでは広がりや大きさを評価します。もし腫瘍が疑われる場合には造影剤を使ったMRIも行います。
治療は?
原因となる病気に対する治療を行うことで解決する場合は原因となる病気の治療を行います。
一方、原因となる病気がはっきりしない、もしくは原因となる病気を治療しても解決しない場合には、脊髄空洞症そのものに対する治療を行います。ただし、ごく小さなもので症状を伴っていない場合には経過観察して構いません。脊髄空洞症そのものに対する治療としては、主にシャントと呼ばれるものになります。脊髄空洞の内部にチューブを挿入し、液が空洞の外部に出ていける道を作るものです。