脳MRIとは
脳MRI検査とは
MRIは脳を調べる上で非常に重要な検査で、病気に対する使い道は非常に多岐にわたります。
MRIは磁力を用いた検査であり、放射線は使用しませんので、被爆の心配はありません。
ごく簡単に言うと、磁場を様々な方向へかけて、体の中の解剖学的情報を画像にする方法です。生体に傾斜磁場をかけて得られる水素原子の信号を画像化しています。なぜ水素原子かというと、体の構成成分の60%は水であり、水素原子が最も多く含まれているから利用価値が最も高いのです。
MRIとCTの比較
MRI | CT | |
検査時間 | 10-30分程度 | 1-5分程度 |
検査方法 | 磁力 | 放射性 |
金属類 | 持ち込めない | 撮影部位では外す |
体内金属 | 検査できないことも | 検査可能 |
検査音 | 大きい | 比較的静か |
血管の検査 | できる | 造影剤が必要 |
閉所恐怖症 | 向いていない | 大丈夫 |
患者さんの中にはMRIの方がCTよりよく分かるのでしょうと言われる方がいらっしゃいますが、一概にそうは言えません。
骨の状態や頭蓋内出血の状態はCTの方が優れていますし、造影剤を使ったCTではMRI以上に細かな血管情報が得られます。
また、MRIを行うには様々な制限やクリアしないといけない条件があります。例えば、MRI室には金属(磁性体や精密機械)を持ち込むことが出来ません。体の中にMRI対応でないペースメーカーや手術で埋め込んだ医療材料が入っている場合、検査を受けられないことがあります。
その他、MRI検査用の狭い寝台の上で10-30分程度じっとしていなければなりませんので、状態の不安定な患者さんや指示に従うことが出来ないような患者さん(小さい子供や不穏状態・認知症の人など)では、しばしば検査ができません(必要な時は、鎮静薬で眠ってもらいながら撮像します)。状態の悪い患者さんで、微調整の必要な点滴、人工呼吸器、心電図モニターなどを外せないような場合には検査そのものが難しくなります。
また、狭いところに入るのが苦手な人には向いていません。その他、検査中に大きな音がしますので、知らないとびっくりされるかもしれません。
CTとMRIは、見たいものが何かを考慮したうえで、使い分けるのが最もよいと考えます。
CTやX線の検査を行うことを、撮影すると言います。写真と同じですね。一方、MRIで画像を撮ることを、”撮影”ではなく、”撮像”と言います。MRIはmagnetic resonance imagingの略です。”image”の日本語は”像”です。MRIでは、「像を撮る」ので、撮像といいます。
MRIでは、傾斜磁場のかけ方により様々な種類の画像が得られます。代表的な画像はT1強調画像とT2強調画像です。これに加えて、FLAIR画像、T2*強調画像(T2スター)、拡散強調画像(Diffusion tensor image; DWI)、灌流強調画像(perfusion weighted image; PWI)、磁化率強調画像(susceptibility weighted image; SWI)、MR angiography(MRA)、MR venography(MRV)、MR spectroscopy(MRS)、surface anatomical scan、CISS(constructive interference in steady state)、MR cine、脂肪抑制、機能的MRIなどはその例ですが、これらは見たい病気により使い分けます。