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新規不眠症治療薬「ボルズィ」登場

Launch of New Insomnia Drug 'Vorzzz'

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新規不眠症治療薬「ボルズィ」登場

  • 2025年11月30日

🛌 新規不眠症治療薬「ボルズィ」登場 — オレキシン受容体拮抗薬で最も短い半減期をもつ新しい選択肢

2025年11月27日、日本の不眠症治療に4番目のオレキシン受容体拮抗薬(DORA)である「ボルズィ」が加わります。
最大の特徴は **「DORAで最短の半減期」**をもつ点であり、翌朝の眠気が気になる患者さんに大きなメリットとなる薬剤です。

🔬 1. 作用機序:自然な眠りを促すオレキシン受容体拮抗薬(DORA)

ボルズィは、脳の覚醒維持に関わる神経伝達物質 “オレキシン”の受容体をブロックすることで、
覚醒し続けようとする力」を抑え、自然な眠気へ導く薬です。

従来薬との違い

  • マイスリー、ルネスタ、レンドルミンなど(ベンゾ系・非ベンゾ系)
    → GABA系を介して脳活動を抑制し、強制的に眠らせるイメージ。

  • ボルズィ
    → 覚醒システムを穏やかにオフにする自然な入眠。
    依存性・耐性が比較的生じにくいと期待。

 

2. 最大の特徴:DORAで最も短い「半減期」

ボルズィは 約2.5〜3時間という極めて短い半減期が最大の利点です。

🔽 半減期比較(主要な不眠症治療薬)

薬剤名 作用機序 半減期 特徴
ボルズィ(ボルノレキサント) オレキシン系 約2.5–3時間 DORA最短。翌朝の眠気・ふらつきが最小限。
デエビゴ(レムナボレキサント) オレキシン系 約17時間 持続時間が非常に長く、睡眠維持に強み。
ベルソムラ(スボレキサント) オレキシン系 約10時間 標準的。入眠+睡眠維持。
クービビック(ダリドレキサント) オレキシン系 約8時間前後 中間的。睡眠維持に一定の強み。
マイスリー(ゾルピデム) 非ベンゾ(GABA系) 約2時間 超短時間型。即効性。持ち越し少ない。

ボルズィの臨床的メリット

  • 翌朝の眠気リスクがDORAで最も低い

  • 朝早く運転・仕事・集中作業が必要な患者に適する

  • 入眠困難が中心の不眠症患者に特に有用
    (ただし睡眠維持障害には他DORAの方が適する可能性)

 

💊 3. 規格・用法用量

製剤規格

  • 2.5 mg

  • 5 mg

  • 10 mg

使用方法

  • 就寝直前に服用

  • 食事の影響を受ける可能性があるため、
    就寝前の食事直後の服用は避ける

  • 服用後は起きて行動せず、そのまま就寝する

📝 4. 不眠症治療の基本は生活習慣の改善

薬物療法だけでなく、以下を含む睡眠衛生指導が不可欠です。

  • 就寝前のスマホ・PCの使用を控える

  • 規則正しい就寝・起床

  • カフェイン・アルコールの調整

  • 日中の活動量の確保

薬の選択は症状(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒)に応じて個別化が重要です。
不眠でお困りの方は、必ず医療機関にご相談ください。

まとめ(記事の要点)

  • ボルズィは 4番目のDORA(2025/11/27発売)

  • DORAの中で最短の半減期(2.5〜3h)

  • 翌朝の眠気・ふらつきを抑えることが最大の特徴

  • 入眠困難タイプの不眠に特に有用

  • 規格は 2.5 / 5 / 10 mg

 

 

※ メーカーのホームページへのリンク(大正製薬):

https://www.taisho.co.jp/company/news/2025/20251127004687/

院長 橋口 公章(はしぐち きみあき)
記事監修
院長 橋口 公章(はしぐち きみあき)

福岡生まれ、福岡育ち。

九州大学医学部卒業。
医学博士。

 

脳神経外科専門医、日本脳卒中学会専門医、日本てんかん学会専門医、日本定位・機能神経外科学会機能的定位脳手術技術認定、迷走神経刺激療法資格認定、日本小児神経外科学会技術認定医。

人との繋がりを大切にし、福岡および周辺地域の患者様の脳神経外科治療に尽力している。

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