心と脳の「オン」と「オフ」~うまく切り替えるコツと大切さ | 福岡の脳神経外科 - はしぐち脳神経クリニック

心と脳の「オン」と「オフ」~うまく切り替えるコツと大切さ

The “on” and “off” of the mind and brain - tips on how to successfully switch between the two and their importance

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心と脳の「オン」と「オフ」~うまく切り替えるコツと大切さ

  • 2025年6月28日

心と脳の「オン」と「オフ」~うまく切り替えるコツと大切さ

私たちの毎日は、「オン」と「オフ」の切り替えの連続です。仕事に打ち込んでいるとき、学生なら学校で授業に集中しているとき、部活に打ち込んでいるとき、家でリラックスしているとき、友人と楽しく話しているとき、夜ぐっすり眠っているとき――。こうした時間は、全部「オン」または「オフ」と呼ばれる心や脳の状態です。

「オン」と「オフ」がうまく切り替わっていれば、心と体は元気に働き、毎日をしっかり乗り切ることができます。逆に切り替えができないと、心も体も疲れやすくなり、イライラしたり、眠れなくなったり、長く続けばメンタルの病気につながることもあります。

ここでは、「オン」と「オフ」とは何か、切り替えがうまくいかないとどうなるか、切り替えを上手にするトレーニングや睡眠との関係などを、わかりやすく説明していきます。


1.「オン」と「オフ」ってどういうこと?

「オン」は、心も体も一生懸命動いている状態です。仕事、勉強、スポーツ、アルバイト、人と話すときなど、集中したり頑張ったりする場面では「オン」になります。
このとき、体の中では「交感神経」が働き、心拍数が上がり、脳もたくさんの情報を処理しようとしています。

一方、「オフ」は、リラックスしたり休んだりしている状態です。家でくつろいでいるとき、友達とゆるく話しているとき、趣味を楽しんでいるとき、そして寝ているときが「オフ」です。
このときは「副交感神経」が働き、体は休むモードに切り替わり、脳もゆったりした状態になります。

人が健康に毎日を過ごすためには、この「オン」と「オフ」をきちんと切り替えることがとても大切です。


2.切り替えがうまくいかないとどうなる?

いつも「オン」状態で疲れ切ってしまう

現代は、スマートフォンやSNS、仕事、業務関連の会合、学生さんなら勉強、塾、部活など、休むヒマもなく次々に情報や予定が入ってきます。
これが続くと、心と体がずっと「オン」のままになり、脳もどんどん疲れてしまいます。すると、集中力が続かなくなったり、イライラしたり、夜眠れなくなったりします。
ひどくなると、体の調子も崩れ、めまいや動悸(心臓がドキドキする)などが出ることもあります。

「オフ」に切り替えられない

家に帰ってもずっと仕事や勉強やバイトのことを考えてしまう、夜寝る直前までスマホをいじってしまう、という人は「オフ」の切り替えがうまくできていません。
こうなると、夜も脳が興奮したままで、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。
しっかり休めないと、さらに次の日も疲れたまま過ごすことになり、悪循環に入ってしまいます。

長く続くと心の病気につながる

このように「オン」と「オフ」の切り替えがうまくいかない状態が続くと、自己コントロールができなくなり、「私はダメだ」と自信を失いやすくなります。
その結果、うつ病や不安障害、心が燃え尽きてしまう「バーンアウト」などのメンタルの病気につながることもあります。


3.睡眠は一番大事な「オフ」時間

夜、ぐっすり眠ることは、心と体にとって最高の「オフ」の時間です。睡眠中に脳はしっかりリセットされ、次の日また元気に活動できるようになります。

でも、「オン」と「オフ」の切り替えができていないと、夜になっても頭が冴えたままになり、布団に入ってもなかなか眠れなくなります。
スマホを寝る直前まで見ていることも、脳を「オン」にし続けてしまう大きな原因です。

夜しっかり眠れないと、脳はどんどん疲れてしまい、さらに切り替えが下手になっていく、という悪いサイクルに陥ってしまいます。

良い睡眠をとるには、夜はなるべく静かに過ごし、寝る前はスマホを置き、脳をしっかり「オフ」に切り替える習慣が必要です。


4.脳が疲れるともっと切り替えが難しくなる

「脳疲労」とは、たくさんの情報を処理し続けることで、脳のエネルギーが足りなくなる状態です。

脳疲労がたまると、「集中したいのに集中できない」「リラックスしたいのにできない」といった、切り替えのミスが増えてきます。

特に「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という脳の部分が疲れると、感情のコントロールができなくなり、イライラしたり、不安を引きずったり、同じことを何度も考え続けたりしやすくなります。

つまり、脳疲労がたまるとオンオフの切り替えがさらに下手になり、そのせいで脳疲労がもっとひどくなる、という悪い循環に入りやすくなるのです。


5.オンオフの切り替えを上手にするトレーニング

オンオフの切り替えは、実は練習すればうまくなる力です。
毎日の生活に、次のような工夫を取り入れてみましょう。

マインドフルネス瞑想(めいそう)

1日数分だけ、目を閉じて、自分の呼吸に集中してみましょう。
「あ、別のことを考えてしまった」と気づいても大丈夫。また呼吸に意識を戻せばいいのです。
これを繰り返すことで、オン状態の脳をリセットする練習になります。

※ マインドフルネスについてはこちらをご参照ください。

軽い運動・ストレッチ

体を動かすことで、気持ちも自然に切り替わりやすくなります。
散歩、ストレッチ、軽い筋トレ、ヨガなど、続けやすいものでOKです。

生活リズムを整える

毎朝同じ時間に起きて、毎晩同じ時間に寝る。
このリズムができると、体内時計が整い、自然にオンオフの切り替えがうまくなっていきます。

楽しいことに没頭する時間を作る

趣味や遊びの時間は、オンとオフを自然に切り替える良い練習になります。
ゲーム、読書、音楽、料理など、自分が楽しいと思えることを見つけましょう。

デジタルデトックス

寝る1時間前には、スマホやPCをなるべく触らないようにしましょう。
ブルーライトを浴び続けると、脳がいつまでも「オン」になってしまいます。


6.オンオフ切り替えの自己チェック

次の7つのチェックリストで、自分のオンオフ切り替えがうまくできているか確認してみましょう。

  • □ 仕事や学校、バイトが終わっても、ずっとそのことを考えてしまう。

  • □ 寝る直前までスマホを見続けてしまう。

  • □ 休日に休めず、何かしないといけないと焦ってしまう。

  • □ ぼーっとする時間があると罪悪感を感じる。

  • □ 朝起きても疲れが残っている。

  • □ 趣味や遊びに集中できない。

  • □ イライラや不安な気持ちが長く続いてしまう。

3つ以上当てはまった人は、オンオフ切り替えトレーニングを意識してみましょう。


7.昼と夜のリズムを大切に

人間の体は、昼間は「オン」、夜は「オフ」に切り替わるようにできています。
でも、夜になってもスマホや勉強でずっと「オン」のままだと、睡眠の質が下がり、次の日もボーっとしてしまいます。

夜はブルーライトをできるだけ避けて、静かな音楽を聴いたり、ストレッチしたり、ぬるめのお風呂に入ったりして、自然に「オフ」に入る時間を作りましょう。


8.オンオフと心の病気の深い関係

オンオフの切り替えができなくなることは、うつ病や不安障害、適応障害、バーンアウト(燃え尽き症候群)といった心の病気と深く関係しています。

実際に、うつ病の人の多くは「オンオフの切り替えができなくなった」と感じていることがわかっています。

逆に、オンオフの切り替えが上手になると、ストレスに強くなり、心の病気の予防にもつながります。


まとめ

心と脳の「オン」と「オフ」の切り替えは、健康で充実した毎日を送るためにとても大切な力です。

✔ オンオフのバランスが崩れると、脳疲労やメンタルの不調が起きやすくなる
✔ 良い睡眠はオンオフの切り替えに欠かせない
✔ オンオフは、日々の小さな意識や生活習慣で上手にできるようになる
✔ 切り替えがうまい人は、ストレスに強く、心の病気になりにくい

現代は、情報もやることも多く、オンの時間が長くなりがちです。だからこそ、自分で意識してオフの時間をしっかり作り、心と体を大切にすることがとても大事です。

院長 橋口 公章(はしぐち きみあき)
記事監修
院長 橋口 公章(はしぐち きみあき)

福岡生まれ、福岡育ち。

九州大学医学部卒業。
医学博士。

 

脳神経外科専門医、日本脳卒中学会専門医、日本てんかん学会専門医、日本定位・機能神経外科学会機能的定位脳手術技術認定、迷走神経刺激療法資格認定、日本小児神経外科学会技術認定医。

人との繋がりを大切にし、福岡および周辺地域の患者様の脳神経外科治療に尽力している。

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