血漿β-アミロイド1-42/1-40比 | 福岡の脳神経外科 - はしぐち脳神経クリニック

血漿β-アミロイド1-42/1-40比

Plasma β-amyloid 1-42/1-40 ratio

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血漿β-アミロイド1-42/1-40比

アミロイドとは?アルツハイマー病との関係と新しい治療薬について

アミロイドβは、私たちの脳の中で毎日作られている、ごく小さなタンパク質のカケラです。普通は脳からきれいに掃除されるのですが、何らかの理由でうまく処理されないと、脳の中にどんどん溜まってしまいます。

アミロイドβが脳に溜まると、「老人斑」というゴミの塊ができてしまいます。この老人班が脳の神経細胞の働きを邪魔したり、最終的には神経細胞を壊したりしてしまうのです。これが、記憶力などがだんだん衰えていく「アルツハイマー型認知症」の主な原因だと考えられています。

アルツハイマー病が進行するまで

最初は、誰でも物忘れをすることがありますよね。でも、アミロイドβが脳に溜まり始めると、記憶力や集中力に少しだけ変化が現れることがあります。これが「MCI(軽度認知障害)」と呼ばれる状態です。MCIの人は、「あれ?物忘れが増えたな」と自分や家族が気づくことはあっても、日常生活はまだ自分でしっかり送れるのです。

アミロイドβの蓄積がさらに進むと、今度は「タウ蛋白」という別のタンパク質も異常な形に変わって、神経細胞の中で絡みつき、細胞をさらに壊していきます。その結果、記憶だけでなく、物事を判断したり、言葉を理解したりするのがだんだん難しくなり、日常生活に支障が出るようになると、「認知症」と診断される状態になるのです。

なぜ早期発見が大事なのですか?

アミロイドβは、実は認知症になる10年〜20年も前から脳にたまり始めると言われています。そのため、**MCI(軽度認知障害)**のうちに脳の状態を把握して、適切な治療や予防に取り組むことが、将来の認知症を防ぐためのとても大切な鍵になるのです。

アルツハイマー病を見つける検査方法

アミロイドβが脳に溜まり始めたばかりの段階(認知症になる前)でそれを見つけるために、特別な検査がいくつかあります。

  • アミロイドPET検査: 放射線を使って、脳の中のアミロイドβがどれくらいあるかを画像で確認できる検査です。
  • 脳脊髄液検査(CSF検査): 背中からごく少量の液体(髄液)を採取して、アミロイドβやタウタンパクの量を直接調べる方法です。

これらの検査を行うことで、認知症になる前のMCIの段階で変化を捉えられるようになってきています。ただ、これらの検査は認知症やMCIの可能性が高い人にしか保険適応がありません。また、体に針を刺す負担が大きい検査です。また、PET検査は放射線を利用した検査です。

新しい治療薬と今後の期待

これまでのアルツハイマー病の治療は、症状を少し和らげる薬が中心でした。でも最近では、アミロイドβを直接減らす新しい薬が登場しています。

例えば、「レカネマブ(商品名:レケンビ)」や「ドナネマブ(商品名:ケサンラ)」のような「抗アミロイド抗体薬」は、アミロイドβにピッタリくっついて、それを体の外に出す手助けをします。これにより、病気の進行をゆっくりにする効果が期待されており、MCIや初期のアルツハイマー病の患者さんに使われ始めています。

ただし、これらの新しい治療を安全に、そして効果的に行うためには、病気を早い段階で見つけて、正確な診断をすることがとても大切なのです。

 

血漿Aβ42/40比の特長と利点の詳細

1. 低侵襲・簡便
  • 血液検査だけで測定可能なため、患者さんの負担が非常に少ないです。

  • 髄液検査(腰椎穿刺)は痛みや頭痛などのリスクがあり、抵抗感を持つ人も多いですが、血液なら安心して受けられます。

2. 早期スクリーニングに適している
  • 採血により、比較的簡単に実施できる検査です。

  • 認知機能に変化が現れる前の段階からアミロイドの蓄積傾向を把握できるため、MCI以前のスクリーニングにも有用です。

3. コストとアクセス性
  • PET検査のような高度な装置や放射性トレーサーが不要であり、コストも比較的低く抑えられます

4. 研究と技術の進歩により精度向上中
  • 以前は血漿中のアミロイドは濃度が低く、安定した測定が困難でしたが、現在は**超高感度測定技術(例:Simoa法、IP-MS法など)**の進歩により、CSFやPETと同等の診断的価値があるとする報告も出ています。

📌 注意点と限界

  • 血漿Aβ42/40比の測定は、現在のところ保険適用外であり、臨床で広く使われるにはもう少し時間が必要です。

  • 測定方法や解析技術によって結果にばらつきが出ることがあり、標準化が課題です。

 

🧠 まとめ:血漿Aβ42/40比の利点とは?

血漿Aβ42/40比は、「簡単」「低侵襲」「安価」で、早期診断やスクリーニングに適した有望なバイオマーカーです。今後の技術と制度の整備によって、認知症予防や早期介入の入り口として広く活用されることが期待されています。

 

このような方にお勧めの検査です

 

☑ 40歳以上の方

☑ 認知症が心配な方

☑ 最近物忘れを感じるようになった方

 

 

検査の流れ

 

 検査予約  窓口もしくはお電話でご予約下さい


 血液検査  受付を済ませ、医師の説明の後、採血(12ml程度)を行います


 結果説明  1か月後、結果説明を行います

 

検査料はどれくらいですか?

 

〇 検査料  28,000円(税込30,800円)

 

どのくらいの頻度で受診するべきですか?

 

通常の健康診断・人間ドックと同じく、1~2年毎の検査をお勧めしております。