てんかんに対する薬物治療
てんかんに対する薬物治療
てんかんの治療の基本は、薬による治療です。
抗てんかん薬の内服薬は古いものから最近のものまで現在20種類近くあり、最近も1~2年に1種類の割合で上市されてきました。
薬には作用機序や体内動態、副作用の種類や頻度などに違いがあります。
また、多くの薬はどのような発作のてんかんにもある程度の効果があるのですが、とりわけ効果が得られやすい薬と、そうでない薬とがあります。そして、効き目には個人差があります。
てんかんの診断に基づいた治療薬選択
まず、病歴や患者の年齢、脳波検査などをもとにてんかんの「原因(症候群分類)」と「発作型」を診断します。
その上で、こうしたてんかん症候群診断と本人の年齢や持病を元にどの薬を最初に使うかを検討します。
抗てんかん薬の効果は?
最初の薬が効いててんかんが消失する確率は50%程度とされます。
最初の薬で発作が消失しなければ2つ目の薬を追加するか、2つ目の薬に切り替えるかのどちらかになります。ただ、2つ目の薬で発作が消失する可能性は10%から、高くても20%に達しないとされます。
そして、2つ目の薬で発作が消失しなかった場合、3つ目の薬で発作が消失する確率は5%もありません。
つまり、てんかんで発作が消失する可能性はだいたい70%程度です。
薬物治療の基本
薬物療法の基本として、
部分発作に対して最も効果が高い薬はカルバマゼピン(商品名:テグレトールなど)とされます。
全般発作の様々な発作型に対して最も効果が高い薬はバルプロ酸(商品名:デパケン、セレニカなど)です。
ですから、初期の段階で、もしくは他の薬が効かなかった場合には必ず使用を検討したほうがいい薬と言えます。
なお、この2つの薬は古くからある薬で、副作用が問題になります。特に、バルプロ酸では妊娠の際に児に対する影響が、またカルバマゼピンでは時として薬疹などの重篤な副作用があり、使いづらいものです。
次に効果が高い薬としてレベチラセタム(イーケプラ)、ラモトリギン(ラミクタール)などが挙げられます。これらは、本邦では2000年代後半に上市されたもので、新規抗てんかん薬に分類されます。アメリカの専門家の間でも評価が高く、カルバマゼピンやバルプロ酸よりも先に使用されることが多くなりました。
その他、諸々のてんかん発作に対して使用頻度の高い薬として、ゾニサミド(エクセグラン)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、クロバザム(マイスタン)、フェノバルビタール(フェノバール)、プリミドン(マイソリン)、エトスクシミド(ザロンチン、エピレオプチマル)、クロナゼパム(リボトリール、ランドセン)、トピラマート(トピナ)、ガバペンチン(ガバペン)、ルフィナミド(イノベロン)、ビガバトリン(サブリル)、そしてペランパネル(フィコンパ)、ラコサミド(ビムパット)などが挙げられます。
最近では、ラコサミドやペランパネルも積極的に使われるようになりました。
エトスクシミドは小児の欠神発作に、ガバペンチンは部分発作に、ルフィナミドはLennox-Gastaut症候群に、ビガバトリンは点頭てんかんにのみ使用します。