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いろいろなてんかん

てんかんにもいろいろある

てんかんというと、突然白目を剥いて泡を吹きながら全身をけいれんさせる状態を思い浮かべる方が多いかと存じます。しかし実際は、発作の起こる脳内の部位や広がりによって、その症状は多彩です。ごく軽いのものの場合、意識は保たれています。実際には本人は全く症状がなくても脳の中では発作様の活動が起きていることもあります。

同じ人でも、複数の発作のパターンを持っていることもあります。

 

てんかん発作の分類

 

単純部分発作(focal aware seizure:焦点意識保持発作)

意識が保たれているけど何らかの症状を伴っている場合、単純部分発作と呼びます。わかりやすい症状としては、片手や片方の口のあたりのけいれんなどですが、自分だけが分かる症状として片手や片足の痺れ、視野の異常、気分不良や胃部不快感などがあります。これらの中には前兆として捉えられているものもあります。

 

複雑部分発作(focal impaired awareness seizure:焦点意識減損発作)

発作がやや広がると、意識がなくなります。この状態を複雑部分発作と呼びます。ボーっとして止まっているもの、もぞもぞと手を動かすもの、体全体を激しく動かすものなど、様々です。そして脳のとても広い範囲、もしくは全体を巻き込むと全般発作もしくは全般化と言います。部分発作の全般化の場合は通常、全身けいれんとなります。

 

全般発作(Generalized seizure)

一方、最初から全般発作の状態(つまり脳全体が発作に巻き込まれた状態)となる人がいて、この場合の症状は、実は様々です。突然バタンと倒れるタイプや首を前屈させるようなもの、両手や両足が一瞬ビクッと動くだけのもの、ただ単に突然止まって数十秒固まっているものなどです。

 

てんかんの診断に関する分類

 

上述ようなてんかんの発作型の他に、家族歴、患者さんの年齢、脳波所見などをもとにてんかんの症候群分類というものを判断します。

ひとことでてんかんといっても様々な種類のてんかんがあるのです。

脳神経外科で主に診ることが多いのは、脳腫瘍や脳卒中後、頭部外傷後のてんかんです。これらは、脳にMRIで分かるような病変があって、そこがてんかん焦点(てんかんを起こすところ)となって発作が起こるもので、症候性-局在関連-てんかんと分類されます。

症候性とは、何らかの原因があるという意味であり、その対義語は特発性です(その他、潜因性というのもあり、これは原因が疑われるが見つかっていないということです)。

局在関連というのは脳のどこか一部から起こるということで、その対義語は全般といいます。ですので、潜因性を除くと、症候性局在関連てんかんのほかに、症候性全般てんかん、特発性局在関連てんかん、特発性全般てんかんの4つに分類されます。

 

てんかんの主な4つの分類(国際抗てんかん連盟分類(1989)

症候性局在関連てんかん

脳の部分的な形成異常、脳腫瘍、脳卒中、頭部外傷や感染症などが発症の原因となる。主に子どもから高齢者まで幅広い年齢で発症する。但し、新生児や乳幼児の場合には、同じような原因でも下記の症候性全般てんかんの要素が強い場合が多くなる。薬で治りにくいケースも少なくない。

 

症候性全般てんかん

原因は代謝性のものだったり、脳全般に関わるものであったりするほか、症候性局在関連てんかんと同じように脳の局所の病変でも起こりえる。但し、脳の神経回路の発達の関係で乳幼児のみにしか発症しない。難治化するケースも多い。West(ウエスト)症候群やLennox-Gastaut(レノックス・ガストー)症候群などが含まれる。

 

特発性局在関連てんかん

調べてもてんかんが起こる原因はわからないのだが、脳の一部からてんかんが起こるもの。幼児から学童期までが中心。基本的に薬に反応し、一定の時期が経過すれば落ち着いてくるものが多い。中心側頭部棘波を示す良性てんかん(ローランドてんかん)や後頭部に突発波をもつ小児てんかんなどがある。

 

特発性全般てんかん

調べてもてんかんが起こる原因はわからないもののうち、脳の全体が同時に発作に巻き込まれるもの。乳児期から青年期までに生じる。代表例として、小児欠神てんかんや若年性ミオクロニーてんかんなどがある。薬への反応はいいが、薬をやめると再発しやすいものもある。

症候性全般てんかんと、特発性てんかんは年齢依存性がある(発症年齢が限られている)ので、年齢依存性てんかんとも呼ばれます。

 

最新のてんかん分類(国際抗てんかん連盟分類(2017)

(追記予定です)