てんかんに対する脳波検査 | 福岡の脳神経外科 - はしぐち脳神経クリニック

てんかんに対する脳波検査

Electroencephalography for Epilepsy

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てんかんに対する脳波検査

脳波検査とは

 

てんかんの診断において最も重要な検査として、脳波検査、次にMRIが挙げられます。

通常の脳波は、正確には頭皮上脳波と呼ぶべきもので、頭皮に電極をつけてそこから得られた微小な電気活動を増幅して記録されたものです。標準的な方法としては、国際10-20法と呼ばれ、基本の電極は21個です。このうち19個の電極を用いて、頭全体に均等に配置できるように決められた方法で電極を置きます。

前述のように、脳活動は微小な電気活動より成り立ちます。正常な機能を果たしている脳では、安静閉眼時・活動時・睡眠時によってそれぞれα波、早いβ波、ゆっくりとしたδ波などが出現します。更に、睡眠の深さによって1~4期、更にREM睡眠期に分けられます。

 

てんかん患者さんにおける脳波異常は

発作時以外の脳波では

てんかんを有している患者さんでは、てんかん発作の頻度にもよりますが、発作がないときにもspike(棘波)という目立って尖った波が見られることがあります。しかも、てんかんが起こる部位の近傍のみに見られます。

つまり、局在関連てんかんで(脳の局所から起こるてんかん)はspikeはてんかん焦点の周辺に、そして全般てんかん(いきなり脳全体を巻き込むてんかん)ではspikeが脳全体に広がります。

なお、spikeとの区別が難しい正常の波形・境界領域の波形が沢山あります。

てんかん性spikeの有無を正確に判断することは、てんかんや脳波の専門医でなければ難しい場合もありますが、spikeがある場合には基本的にてんかんと診断されます。

 

発作時の脳波では

発作が起これば発作に特有な律動波(リズミカルな波)を認めます。spikeの周辺には徐波を伴うことが多く、しばしばspike & wave(棘徐波複合)を形成します。

 

脳波に混入するアーチファクト

その他、専門医(てんかん専門医、臨床神経生理学会専門医:脳波部門)が見たらすぐにわかるのですが、非専門医が誤ってspikeと考えてしまうものに、アーチファクトと呼ばれるものがあります。これは、脳波検査中に何か電極に外部からの刺激が入って脳波以外の成分が入り込んでしまうものです。例えば、筋肉の動き(筋電図)や眼球運動、電極を触った動きや汗、交流電流などもアーチファクトになります。

脳波の判読は、専門医でなければ難しいものです。非専門医が脳波を読み、アーチファクトをてんかん性spikeと読み間違っててんかん治療が始まるパターンが非常に多いものです。

 

脳波からわかるその他のことは?

なお、脳波は何もてんかんのみを目的として行う検査ではありません。意識障害のある患者さんの脳機能の活動度を把握することもできますし、脳の局所異常を見分けることもできます(CTやMRIが発達する以前は、病変部位を推定するための手段として用いられていました)。

特定の病気にのみ特異的に出現する異常波が捕まれば、診断の根拠になります。その他、我が国では脳波を脳死判定にも用います。