小児欠神てんかん
小児欠神てんかんとは
学童期のてんかんです。突然意識を失って数十秒間ほど固まる発作を1日に何回も繰り返します。
特徴は?
突然体の動きが止まり、ボーっと固まる発作(「欠神」と呼ばれます)を繰り返します。持続時間は4~20秒程度です。
発作の間、顔色が悪くなり、目は少し開いてうつろになり、少し上を向きます。
発作の最中に軽く目をパチパチさせたり(眼瞼ミオクローヌス)、口をクチャクチャさせたり(口部自動症)することがあります。
発作は急に終わり、本人にはその間の記憶がありません。
倒れることはありません。
このような発作を1日に何回も繰り返します。
発作が終わった瞬間から呼びかけに反応するので、周りから見ると「ボーっとしている」だけという感じに受け止められるかもしれません。
発作は、感情変化(恐怖、驚き、当惑)、集中力が低下したとき、眠気のあるとき、食事中などでも起こりやすくなります。
学童期のてんかんです。概ね4歳~10歳ですが、最も多いのは、6~7歳頃です。
男児よりも女児に多い傾向があります(7割程度)。
遺伝的要素もあり、家系内発症するケースもあります。
診断は?
主に症状から推測し、脳波検査で診断がつきます。
脳波では、両側同期性・対称性の、3Hz前後の棘徐波が出現しますが、それ以外の所見は正常です。
このような棘徐波は、脳波中に過呼吸状態を作ることで必ず誘発されます。
治療は?
バルプロ酸、エトスクサミドが有効です。
エトスクシミドには強直間代発作(全身けいれん)を抑える作用はないため、強直間代発作を伴う場合にはバルプロ酸を選択します。
バルプロ酸ナトリウムは忍容性の問題から思春期を境に使いづらくなりますので、その時にはラモトリギンも選択肢になります。
その他、クロナゼパム、クロバザム、アセタゾラミドなどが用いられることがあります。
フェニトイン、フェノバールは無効であり、一方、カルバマゼピン、ガバペンチンなどは時に症状が悪化するので注意です。
経過は?
発達には異常を認めません。
「年齢依存性てんかん」(一定の年ごろに始まり、成長するにつれて自然に終息するタイプのてんかん)のひとつです。治療開始してから数年間発作がなく脳波検査で正常であることを確認しながら薬を減らしていきます。
一般に、12歳頃までには発作を起こさなくなことが多いですが、思春期になると全般性の強直間代発作(全身けいれん発作)が起きることもあります。
また、発症年齢が一般的ではない場合、発達の遅れを伴う場合、欠神以外の発作パターンを伴う場合などでは、小児欠神てんかんではない可能性も考慮せねばなりません。
こうした背景も考慮したうえで、薬を減量する際には慎重に行い、その間も脳波が正常であることを確認することが大切です。