発作性運動誘発性ジスキネジア
発作性運動誘発性ジスキネジアとは
動作や驚きにより突然生じる、手足の片側もしくは両側の意図しない動き(不随意運動)を伴う病気です。
頻度は150,000人に1人とされ、稀な病気です。
発症年齢は一般的に小児期~青年期に多いですが、報告では4か月から57歳と幅広い年齢の報告があります。家族性の場合には、男性に多い傾向があります。
家族性の場合もあり(常染色体優性遺伝)、家族性の方がむしろ孤発性(家系内で一人のみが発症)よりも頻度が高いと報告されています。
乳児痙攣の既往がある方が少なくありません。
発作の特徴・診断は?
発作は、座った状態から立ち上がるような急な動作によって起こりやすいほか、歩行中、走行中、ベッドでの寝返り、手足の関節の屈伸などの運動で生じます。月経、寒気などで起こることもあるようです。家族性の場合には,感冒,過換気,精神的緊張も発作の引き金になることが報告されています。
発作の際には、ジストニア,舞踏病,
多くの場合、発作は数秒から1分以内ですが、数時間続くケースもあります。
発作中も意識は保たれます。時に前兆もあります。
発作は、少ないケースでは月に1回程度ですが、多い方では1日に数十回以上起こります。
MRI
一般的に、MRIでは異常を認めません。
特殊な原因として,多発性硬化症、脳腫瘍、モヤモヤ病などの血管障害による大脳基底核の病変などが報告されています。一方、大脳の外傷や橋中心髄鞘崩壊症など、大脳基底核以外の病変でも、類似した症状を引き起こしたもあります.MRIでは通常は異常を認めませんが、これらの病気の有無を確認するために検査を行うべきと言えます。
脳波検査
一般的に、脳波では異常を認めません。
てんかんの部分発作により発作性ジストニアを呈することがあるため、脳波検査も欠かせません。
薬による診断
一部の抗てんかん薬に治療効果があることが知られています。フェニトインやカルバマゼピンによって発作をとめたり,頻度を減少させたりすることができるため、診断に用いられます。
遺伝子との関連
関連する遺伝子は同定されてませんが、遺伝性のケースでは染色体16qとの連鎖が確認されています。
治療・経過は?
フェニトインやカルバマゼピンなどの抗てんかん薬は、発作の予防や頻度を減らすために有効です。通常,てんかんに対して用いるよりも少ない量で効果が得られます。その他、エトサクシミド、ラモトリジン、オキシカルバマゼピンも有効です。
一般的には、年齢とともに発作の頻度は減少し、20歳代までには治まっていきます。女性では男性より経過がいいようです。