脳血管れん縮
脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく); くも膜下出血後の脳梗塞
くも膜下出血は、脳の表面にある血管が破れて血液が漏れ出し、
脳血管攣縮は、くも膜下出血後、
脳血管攣縮の発生率は、症候性の場合で約30%、
脳血管攣縮が起きる理由
脳血管攣縮が起こるメカニズムには、
脳動脈瘤が破裂した後、最初の数日が再破裂しやすい時期であり、
攣縮の診断は?
脳血管攣縮の診断には、主に以下の方法が用いられます。
- 経頭蓋ドップラーエコー(TCD): 頭の外から超音波を当てて、
脳の主要な血管の血流速度を測る検査です。血管が縮んでいると、 血流速度が速くなるため、攣縮の程度を評価できます。 - 3D-CTA(3D血管造影): CTスキャンと造影剤を使って、
脳の血管を立体的に映し出す検査です。 血管の形や狭くなっている部分を詳しく見ることができます。 - MRA(MR血管撮影): MRI(磁気共鳴画像)を使って、
脳の血管の様子を画像化する検査です。 放射線を使わずに血管の状態を確認できます。 - 脳血管造影: カテーテルという細い管を血管に通し、
造影剤を注入してX線で血管を直接撮影する検査です。 最も詳しく血管の状態を把握できます。
脳血管攣縮対策
くも膜下出血後には、脳血管攣縮を起こしやすい時期があります。しかし、脳血管攣縮に対する有効かつ確実な予防・治療方法は未だ確立されていないと言っても過言ではありません。
脳血管攣縮を予防するための方法として、
1.血圧を通常よりも高めに維持すること
2.血管内の水分量を多めに維持して血管の拡張に努めること
3.血液中の赤血球濃度を適度に保つこと
4.血流改善を目的として使用でいる幾つかの薬を使用すること
5.脳血管内治療
などです。
血圧を高めに維持する
血圧を下げると血流が脳に届きにくくなります。したがって、
脳血管の水分ボリュームを保つ
血管内の水分量が足りないと血管は十分に拡張できません。
血液の濃さを維持する
血液が薄すぎると血管内のボリュームを維持できませんが、
血流の改善を促す薬の使用
血管収縮を防ぐために使用される薬剤として、塩酸ファスジル(
その他、オザグレルナトリウムも点滴で使用することが認められてはいますが、あまり使用されていないと思います。脳血管攣縮の予防として、アスピリン(抗血小板薬)
近年、脳血管攣縮の治療薬として注目を集めているのがクラゾセンタン(商品名:ピヴラッツ)です。
クラゾセンタンは、エンドセリンという強力な血管収縮物質が血管の受容体に結合するのを阻害するエンドセリン受容体拮抗薬に分類されます。エンドセリンは脳血管攣縮の主要な原因の一つと考えられており、クラゾセンタンはその働きを抑えることで血管の収縮を防ぎ、脳への血流を維持する効果が期待されています。
本薬剤は日本でも承認されており、今後の臨床現場での活躍が期待されています。
ただし、高齢者や心機能が低下している患者さんでは、体に水分がたまりやすくなり、肺に水がたまって呼吸が苦しくなる**(肺水腫)**といった副作用が生じる可能性があるため、慎重な使用が求められます。
脳血管内治療
薬物療法で効果がない場合や、重症の脳血管攣縮に対して行われます。カテーテルを使って血管の狭くなっている部分を広げたり(バルーン血管形成術)、血管拡張薬を直接投与したりします。
経過、その他
軽度の脳血管攣縮であれば、
また、未治療の脳動脈瘤が残っている患者さんに対して、
全身麻酔下での手術では、
このように、
特に、
最終更新日:2025年4月27日