未破裂脳動脈瘤 | 福岡の脳神経外科 - はしぐち脳神経クリニック

未破裂脳動脈瘤

Unruptured aneurysm

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未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤とは

 

未破裂脳動脈瘤とは、未だくも膜下出血を起こしていない脳動脈瘤です。

よく患者様から受ける質問ですが、「未破裂脳動脈瘤はいつからあったのですか。」という疑問です。残念ながら、正確なことはわかりません。ただ、少なくとも数か月~数年以上前から存在していたものだと思われます。それが徐々に大きくなって現在に至ったものだと考えられます。通常の”嚢状動脈瘤”は、決してある日突然出来ていきなり破裂するものではありません。

時に、前回の脳血管検査では見当たらなかった脳動脈瘤が新たな検査でみつかることがあります。これを”de novo(デノボ)”動脈瘤と呼びます。

動脈瘤は、経過観察していると大きさがあまり変わらない時期が数年間続いたり、逆に大きくなったりもします。大きくなっている脳動脈瘤は破裂の危険がより高いと考えるのが通例です。

 

動脈瘤を破裂する前に診断する

脳動脈瘤は、どうやって見つかるのでしょうか。

頭痛やその他の症状があってMRICTなどの検査を受けた際に偶然見つかることがあります。別の病気の検査を受けている過程で見つかる人もいます。また、脳ドック検査を受けて見つかるパターンもあります。

約2-6%の人が脳動脈瘤を持っていると言われます。将来破裂してくも膜下出血を発症する可能性があるので、予防的に治療をするか否かを検討します。

 

未破裂脳動脈瘤に対して予防的治療を行うべきか否か

脳動脈瘤があれば即治療という考えは誤っています。というのは、未破裂脳動脈瘤にも破裂する危険性がありますが、未破裂脳動脈瘤に対する予防的治療にも合併症という危険性があります。こうしたことを天秤にかけてより危険性の低い方法を選択するのが賢明なやり方です。

結論から言うと、

① 大きさが5~7mm以上の脳動脈瘤

② 5mm未満であっても、

(ア) 症候性の脳動脈瘤

(イ) 前交通動脈、および内頚動脈-後交通動脈部などの部位に存在する脳動脈瘤

(ウ) 血管との基部の広さに比して瘤が大きい・不正な形、ブレブを有するなど、形態異常

(脳卒中ガイドライン2015より)

ということになります。

未破裂脳動脈瘤の破裂率については未だ議論があるところですが、我国では一般的に0.5~3%/年程度の破裂率だと言われています。

60歳で見つかり、毎年1%の破裂率とすると、80歳までに破裂する可能性は単純計算で約20%になります。

ただ、それも脳動脈瘤の発生部位や大きさ、形状、その他の危険因子(血圧や喫煙歴、年齢など)にもよります。

 

動脈瘤の破裂リスクの個別評価

部位としては、椎骨・脳底動脈のもの、前交通動脈に出来たもの、内頚動脈-後交通動脈分岐部に出来たものなどは比較的破裂しやすいと言われます。

また、一人の患者さんに複数の脳動脈瘤がある場合(多発性)には破裂率が高まると言われますし、家族にくも膜下出血の方がいらっしゃる場合(家族歴)にも危険性が高いと言われます。

持病としては、高血圧がある人では破裂率が高くなるので、血圧管理は重要です。その他、多発性嚢胞腎という病気を有する人も破裂率が高いようです。

生活習慣としては、喫煙者で破裂率が高まるとされます。

喫煙や高血圧は心がけや治療方法により解決できる可能性がある問題です。しかし何と言っても、未破裂脳動脈瘤の部位や形状如何によっては積極的な治療を検討せねばならないかもしれません。

 

年齢と未破裂脳動脈瘤治療

未破裂脳動脈瘤に対する治療にあたって、重要な要素として年齢があります。100歳のおじいさんの小さな未破裂脳動脈瘤を治療することは通常、常識に反しています。

実際の年齢的な要素としては一般に70歳未満の方では予防的治療を検討したほうがいいと言われます(破裂率が1%/年、治療合併症が5%以内と想定)。

年齢については、その患者さんで予想される生命予後がどの程度であるかと関わってきます。その間に破裂するリスクが高ければ予防的治療を積極的に検討すべきと言えます。男性では平均寿命が80歳を超えましたし、女性では87歳に近づこうとしています。参考とすべき数値になります。

 

治療方法は

治療方法として開頭クリッピング術血管内コイル塞栓術のどちらを選択するかについては、どちらかでなければならないということはありません。主に発生部位や大きさ、年齢、合併症、などを基準に選択すべきです。また、主治医や施設によっても得意不得意がありますので、主治医とよく相談の上で最終的に決断することになります。

なお、もし仮に、今すぐにでも入院して治療を受けるようにと医師から説得された場合には、切迫破裂の状態や症状が既に出ている場合を除いて、敢えて逆にセカンドオピニオンを求めたほうがいいかもしれません。