発生率・予後(くも膜下出血)
くも膜下出血の発生頻度
くも膜下出血は年間3万人くらいに発症し、そのうち女性が約7割を占めると言われています。
くも膜下出血による死亡
くも膜下出血の恐ろしいところは、他の脳卒中(脳梗塞・脳出血)と比較しても、死亡率が高いことです。
2014年の厚生労働省調査では、くも膜下出血によりお亡くなりになった患者さんは約12,600人です。これは、脳卒中関連死亡全体の11%にあたります。40歳以上で増えて、80歳くらいまでは年齢とともに増加する傾向にあります。
くも膜下出血になった患者さんのうち、約20%は病院に到着する前にお亡くなりになってしまいます。病院にたどり着いた患者さんのうち、1/3は経過中にお亡くなりになってしまい、別の1/3は後遺症を残して社会復帰が厳しくなります。自分の身の回りのことをこなせるようになり、日常生活に復帰できるのは1/3と言われています。
※ このあたりは、報告により多少は異なります。しかし、概して4割前後が死亡、全体の半数は高度障害もしくは死亡です。
※ 瀕死の状態の患者さんは、破裂脳動脈瘤に対する手術を受けることはできません。破裂脳動脈瘤に対する処置を受けられた患者さんについては、手術前後の状態にもよりますが死亡率は概ね10%程度、日常生活への復帰率は50%を超える程度と思われます。
直接の死因
死亡原因の多くは初回破裂による出血です。次に多いのは再破裂であり、破裂による死亡例が大部分を占めます。その他、脳血管攣縮による死亡や合併症により死亡する患者さんも含まれます。症候性の脳血管攣縮は約30%で起こるとされていますが、重篤な脳血管攣縮が生じた場合、それによる死亡率は10%程度のものです。
水頭症が生じて処置が必要になる可能性は10~20%とされます。適切なタイミングで適切な処置を問題なく行うことができたら、水頭症で死亡することはないでしょう。
社会復帰
社会復帰できる確率は、患者さんが病院に着いた時の状況に大きく影響されます。意識不明の状態で来られた患者さんが完全に社会復帰できる可能性は10%程度です。一方、頭痛があるが意識は保たれた状態で来られた患者さんについては、70%で社会復帰できます。